ALSOK

家のセキセイインコは、ふだん妻の左手でセックスだか自慰だかをしている。親指と中指の爪を打ち合わせると、それが嘴に見えるのか、手首に止まり一心不乱に怖い目をして羽を広げ、腰を前後ではなく左右に振って擦りつける。今日、わたしが彼の前で左手の指をなにげなくあわせると、なにやら戸惑いながら尾羽を振ってまたがってくる。はたしてこの手が自分の愛人なのかどうか迷っている、ということはないな、違いはまちがいなくわかっているから、これも愛せる対象なのかどうかに戸惑っていたのだろう。やがて彼は意を決したようにわたしの親指の爪を噛み、指が逃げ出さないように両羽で必死に囲みつつ激しく動き、果てた。わたしの左手の純潔は失われた。そういえば日本語には、男に対して使う「処女性」にあたることばがない。「童貞性」とは言わないし。なんで「性」がつくだけでこれだけ不自由になるんだ。

新築中(なのです)の家の現場で電気回りの打ち合わせ、および某セキュリティ会社との打ち合わせ。11月に出たこの会社の新商品は、窓にいちいちセンサーをつけるのではなく、空間全体を把握して動くものを察知するセンサーをつけるのだが、当然ペットが動けば警備員がとんでくるはめになる。うちの場合は小部屋に鳥を閉じこめることになるが、それでうまくいくかどうか。誤作動というか正確すぎる作動が心配だ。