白いエクリチュール
例によって文学理論の試験は、学生があらかじめ書いた答案をメールで送ってくればヒントを与えるやりかた。今年は三割近い学生が送ってくる。あたりまえだが、教科書に直接載っていない問題はできが悪い。解釈共同体という概念の説明を求めたのだが、教科書に沿って浮遊するテクスト論みたいなことを書いてくるやつがじつに多い。逆に教科書に沿っている問題は、バルトの「白いエクリチュール」を解説させるものだが、採点はこっちが厄介。教科書の部分的丸写しをみて、ほんとにわかっているかわかってないかを判断することになるからだ。どうもみんな「白くないエクリチュール」、紋切り型の呪縛性を、感じていないような…… たんに判断を宙吊りにすれば「白く」なるというものではないと思うんだけど。本日のネタ答案。
問い バルトのいう白いエクリチュールとはどのようなものですか?
答え 白いエクリチュールとは、様々な主張や判断の中にあって、そのどちらにも与していないことから、中立的なエクリチュールとも言われている。たとえば、「リンゴとみかんとどちらが好き?」と聞かれた時に「どちらも普通。」と答えたら、それは中立的なエクリチュールといえるだろう。
- 作者: John Stuart Mill
- 出版社/メーカー: The University of Michigan Press
- 発売日: 1961/12/01
- メディア: ペーパーバック
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