下妻物語・完

二日酔い。昨日壁にワインをぶちまけたバカ(俺だ俺)などに悪態をつきながら、壁の汚れにペンキを塗る。といっても実際に塗ったのは妻。ちゃんときれいになる。ペンキってすごい。
   下妻物語・完―ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件
嶽本野ばら下妻物語・完――ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件』(小学館、2005)。最近、特定単数の方からだが、わたしに対して「乙女」「心がはちみつ」「小鳥のように可憐」などということばを頂いているので、調子にのってこれも読む。このブランド・固有名の羅列って『なんクリ』だよなあ。ただしこの場合、二人の主人公が繰り出す無数のアイテムの両方に詳しい人はたぶん地上に存在しないので、啓蒙性よりなにより異物感が先にたつ。いちおう探偵小説仕立てですが、探偵小説としては噴飯ものです。
桃子が突きつけてくるのは、正しい「乙女」と自信に満ちた「オタク」の、いったいどこが違うのか、という大問題だ。桃子は、確信に満ちて自己充足したオタクの理想像なのだから。オタクというものにはなんらかのかたちで性的欲望がまとわりつくのに、ロリータはあからさまな性を拒否している、ということなのか、な……。